ポッポッポ、コトコトコト…。
特徴的な機械音とともに、ピストンが動き出し、車輪が回る。
1900年代から1950年代頃まで日本国内各地で活躍していた「農業用発動機」。おもに石油や灯油を動力源とする、農家の「脱穀」や「籾摺り」といった農作業の動力源として使われた機械である。
(※)籾摺り(もみすり)…籾から籾殻を除去して玄米にする作業。機械化前は、臼をひいて作業していた。
60代以上の方の中には目にしたことがある、あるいは、自宅にあった覚えがあるという方もいるのではないだろうか。
いまではすっかり見かけなくなってしまったこの農業用発動機を収集・修理し、普及させる活動を行なっている人が、新潟県長岡市にいる。
NPO法人・新潟県発動機研究所の会長をつとめる白井俊一さんだ。なんと、白井さんは好きが高じて、自宅に発動機の私設博物館をつくっているという。
深遠なる発動機の世界。それを愛する男たちの姿を追った。