「やな場」という言葉をご存知だろうか。
日本各地に古くから伝わる「簗(やな)漁」を行う漁場だ。簗漁とは、川に杭を打ち込み、竹や木を使ったすのこを張り巡らせ、川の上流から泳いでくる魚を捕らえるという、シンプルかつ大胆な漁法である。その歴史は古く、「万葉集」の中でも言及されたり、平安時代から漁が行われていたという説もある。生計を支える漁業としてだけでなく、多くの人を集める観光資源としても知られてきた。
新潟県長岡市にも、やな場が存在する。信濃川の支流である魚野川(うおのがわ)は、水質のよい清流が流れることから豊かな漁場として知られ、3箇所のやな場がある。中でも、長岡市西川口地区にある「川口やな場」は、国内有数の歴史をもつ。